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【読了】右翼と左翼

 

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

 

  まず、右翼と左翼の定義について勉強しようと思い上記の本を読んだ。Wikipediaの左翼の項の参考文献にあった本だ。

 前書きには、右翼と左翼についてとりあえずわかりたいという人向けの本だとあったが、その言葉に嘘はなかったと読み終えて思う。

 フランス革命の議会の故事から始まる右翼と左翼の歴史を程よい密度で紐解いてくれていた。

 これを読むと、フランス革命からこちら世界は基本的に左傾の歴史を紡いできたことがわかる。そして、右翼は左翼に対する反発として生まれたことや、右翼と左翼という定義は相対的であり、さらなる左が定着するごとにそれまでの左は右となるという基本則があることも。

 また、イスラム世界などのイデオロギーは右翼左翼という軸では捉えられないというところまでフォローしていて、右翼と左翼についてとりあえずわかりたいということならこの本で十分なのだろうと思った。参考文献もちゃんと書かれている上、それをどのように参考にしたかまで書かれているので、この本を最初の手がかりにして更に右翼と左翼の定義について突き詰めていくこともできるだろう。

 最後に作者自身の政治的スタンスについてちゃんと説明されていたのも良心的だと感じた。個人的にはあまり同意するところではないスタンスではあったが。

 総じて、良い本だった。