記号、現実、理想主義

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現代における本屋の価値

 私は電子書籍を活用している。なぜなら、今まで何千冊もの本を置くスペースがないという理由で処分してきた苦い経験があるからだ。電子書籍なら、置くスペースのことなど気にせずに本を買えるし、捨てるという苦い経験をせずに済む。

 一方で、本屋にも行く。あの空間で様々な本を眺めながら夢に浸るのが好きなのだ。

 そして、気になった本は電子書籍で買ってしまう。つまり、私は本屋にとって一番迷惑な類の客である。

 私にとって現代の本屋は博物館に近い。様々なジャンルの様々な本を眺めて、雑誌が多いのは住宅街にある本屋だからだろうか、とか、よく平積みされている本だけれど世の人の関心が高いのだろうか、とか、夢想に浸る。この経験こそが本屋の価値でありそれに自体に対してお金を支払いたいが、そのためのシステムはまだ世に広まっていない。

 その本屋で本を買えばいい、という意見もあると思うが、本はいつまでも手元にとっておきたいのに物理的に不可能というジレンマを解決してくれた電子書籍から戻る気はあまりしないのだ。

 個人的には、本屋に行って気になった本のバーコードをスマホに読み取らせたら、その本屋の売り上げとなる形で電子書籍が買えるという世界が理想だ。もちろん物理的な本を買うこともできる。そうした本屋だったら、入場料が取られても構わない。

 これこそが来たるべき未来の本屋だと思うのだ。