反ワクチンを広めることに意味はなかった
先日、小児科医の方のブログを読んで、反ワクチン派にとっても反ワクチン思想を広めることは子供の命を守れないという点で意味がなかったのだということに気がついた。
順を追って説明する。
まず、
周囲の人の多くがワクチンを受けていると、受けている人自身も、受けていない人も守られます。先天性の免疫不全・免疫が弱くなる病気や治療をしている人が守られるのはとても大事なこと。実際には、存在しないワクチンによる不利益を恐れてワクチンを打たない人も、このように感染から守られます。
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ということを理解したい。周りの人がワクチン接種をしているのならば、そもそも感染症が広まらないのでワクチン接種をしていない人も守られる、これは非常に大事なことだ。
そして、反ワクチン思想の中にはそれを一方的に利用する人も現れた。
ドクター・ボブはMMRワクチンを不安に思う親に向けてこう助言しているのだ。「その不安を近所の人と共有しないほうがいいでしょう。多くの人がMMRワクチンを避けるようになったら、病気はあっという間に戻ってきますから」
ドクター・ボブはフリーライドを勧めているということ。周りの人にワクチンを打ってもらって、自分は不安を感じるから子どもに打たないということを肯定しています。ロバート・チェン医師の第3期になった途端、妊娠中の人、病気などでワクチンを受けられない人、小さい子どもが感染の危険にさらされます。
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これはものすごく平たくいうのなら、周りの人がワクチンを打ってくれてるなら私の子が打たなくても平気よね、そうすればワクチンの副作用のリスクゼロでワクチン接種の恩恵を受けられるわ♪ということだ。これをフリーライドと言いう。
でも、問題がある。この考えをする人が広がってワクチンを打たない人が増えたら、感染症はすぐに広まるようになりワクチンを打っていない子供の危険はぐんと高くなるのだ。
つまり、反ワクチン派にとっても反ワクチン思想を広めることは意味がなかったということだ。
このフリーライドを根拠としていない反ワクチン派の人もいるだろうが、そういう例もあったという話。
でもこれにはちょっと驚いた。反ワクチン派にこうした疫学的な根拠を持ってその上でフリーライドをしている例があるとは、と。
しかし、ワクチンというのは子供達を守るために接種すべきだ。
先ほどワクチンを打たない人が増えたらワクチンを打っていない子供の危険は高くなると言ったが、省略したことがある。ワクチンを打たない人が増えたら、ワクチンを打っている子供の危険も高くなるということだ。
ワクチンは一度受ければどんな条件であっても完璧に子供を守れるというものではないからこそ、集団で受けて子供を守れる可能性を上げていかねばならないと理解している。
そして同時に、ワクチンを接種することが自分の子供だけではなく、ワクチンを打てない病気の子供も守ることなのだと考えると、ますます接種しないという選択肢はなくなる。
ワクチンには副作用のリスクがある。それはその通り。しかし、そのリスクとワクチンを打たないことのリスクを秤にかけると、ワクチンを打ったほうがいいという判断になる。
ワクチンを打たないことのリスクとは、自分の子供も他の人の子供も感染症にかかる危険が高くなるということだ。そしてそれは副作用が起こる可能性よりもずっと高い。ならば、副作用が起こるリスクを取って接種する方を選ぶ。
反ワクチン派の人は、自分は打たないから放っておいて欲しいと思うかもしれない。けれども、それすら無理なのだ。前述の通り、ワクチンを打たない子供が増えたらワクチンを打っている子供の危険まで高くなるのだから。
ましてや、反ワクチン思想を広められることは感染症で死ぬ子供を増やすということに直結する。それは当然、反ワクチン派の子供にも襲いかかる。
反ワクチンを広めることは、本当に誰にとっても全く意味がないのだ。